もう二度と戻らない日々を〜エレカシ「悪魔のささやき」ツァー in 水戸〜

もう何日か経ってしまったのだけど、水戸に行ってきた。
エレカシを聴きに。
「いいライブだった」こと以外の何ものでもなかったので書くことがなく、今日まで淡々と時が流れた。
ライブハウスの店長さんが、こどもの日に避難所の子供たちに配るガチャガチャを集めているときいたので、私もいくつか持っていった。
生まれて初めてやったさ、ガチャガチャ(笑)。

キャパ350、9.5×5のステージとほぼ同じ大きさのフロア。
会場に入ってまずそのコンパクトさに驚く。
自分のエレカシ体験史上いちばん小さかったですね。
そのまま行けば下手5列目くらいに入れる感じだったけど、ふと上を見ると2階席(スタンディング)も開放していたのでその上手最前列へ。
すっごいいい眺め。
遮るものがなにもないばかりか見下ろすかたちなのでステージ奥まで、ドラムの上に置いてあるトミのセトリ表まで見えるんじゃないかと思うくらい。
メンバーひとりひとりの表情や演奏する手元さえクッキリと全て見える。
そしてお客さんの様子も手にとるようにわかる。

本編17曲。アンコール5曲。ダブルアンコール2曲。
ぜんぶで24曲。
ほぼ時間きっかりに始まって、ライブ終わりに時計をみてまた吃驚。
耳いっぱい、頭いっぱい、身体いっぱい、心にいっぱいのあの充実感でほぼ2時間。
3時間くらいやってたと思ったのに。

「moonlight magic」での幕開けが嬉しかった。
「悲しみの果て」はいつ聴いてもまっすぐだ。
「ハロー人生!!」を生で聴いたのは初めてだった。テンポアップして高揚した中に♪オレは未だ生きている♪のコトバが突き刺さってくる。
大好きな「何度でも立ち上がれ」は本当に何度聴いてもいい。石くんとミッキーが必死にコーラスしているのが見えるんだがあまりよく聴こえなくて残念。友達とカラオケで歌うときは必ずどっちかがあのパートを歌う癖がついているもので、気がついたら無意識で上声部を声でなぞってた・・・ごめんなさい。
「OH YEAH!(ココロに花を)」は、震災後いちばん私が聴きたかった曲。「みんなに捧げます」というひとことのMCで始まる。

♪Yes 終わらないぜ
時間はまだまだある
Yes 戦うため 生きてゆこう♪

やることまだまだある、時間はまだまだある・・・そう誰かに言ってもらうことが、どんなに自分の勇気に火を点けてくれるだろうか。

イントロなしでまっすぐ丸裸の声から始まる「赤き空よ!」。始まる瞬間に毎回身震いが起こる。冒頭1小節の4つのベースラインとハーモニーが、今まで聞き慣れた音源やライブといきなり違っていて斬新!おお〜〜、半音下降してない!!素直な感じでいいな〜〜!
♪レッツゴー、未来へ〜!♪で、誰に言われたわけでもないのにお客さん全員の拳が中央に向かって上がる。すごい。

「涙」はローディーの丹下さんや石くんにコードを訊きまくってから開始。突然やってくれたんだ。嬉しい。「全然練習してないんだけど・・・」いいんです、全然。
そう、♪悲しいときには 涙なんかこぼれない♪・・・そうだもん。

本編ラストはツァータイトルのアルバム、トリの曲「悪魔メフィスト」。大掛かりな楽器の音を入れずに5人で音を積み上げてる。音は当然薄いけどそれが全然マイナスになってない。コーラスしそうになるところをぐっと我慢・・・。

アンコール。
こんな状況なので節電とか常磐線のダイヤとかいろんなことがあったからなのかなぁ、「もうちょっとやっちゃってだいじょぶですか?いいかな?」とちょっと心配げに訊く宮本さん。
テンポ速めの「笑顔の未来へ」はワクワクと、「俺たちの明日」はいつ聴いてもドーンと。
「ファイティングマン」では「みとみとみとみとみと〜〜〜〜っっっ!!」と絶叫。
ダブルアンコールに出てきたところで「なにしよう?」・・・お客さん「花男!」・・「あ、(なるほどそうか)花男」のくだりが微笑ましかった(笑)。
♪生きる屍(しかばね)♪を、最後の一回だけ♪生きる「しかねぇ」♪と、咄嗟に歌い変えた宮本さん、さすがとしかいいようがない。

この日、宮本さんはギターを持たない曲ではステージ前方ギリギリまで前に出てきて、前列のお客さんから見たらきっと30センチくらいという状況で歌っていた。
ハンドマイクを握り、いつものように身体をふたつに折り曲げて声を振り絞る。膝の上に置いた左手は常に前列のお客さんの手8本くらいに占拠され・・・壮絶な光景だったですね。
宮本さんはそれを嫌うでも振り払うわけでもなく、その状態のままでまっすぐ前を見据えて歌い続けてた。「もうどうにでもなれ、何が起きても構わねえ、歌よ届け〜!」みたいな気迫だったですね。そして最初から2階席へも何度も歌いかけてくれて、目力も声もココロも届く。おそらく350人全員の目を一度は見てくれたんじゃないかと思うくらい、ずっとずっと食い入るような強い視線。

ラストは「四月の風」。
♪ああ 君に会えた四月の
四月の風♪

お客さんの絶叫は「キャ〜」でも「ミヤジ〜!」でももはやなく、「ありがと〜」「どうもありがと〜」の嵐。
宮本さんはそれにずっと「ありがとう!」「お互い様だ!」「みんな、ありがとう〜!」と繰り返してくれた。

ライブが終わって、まず「負けた・・・」と思った。
エレカシを聴きに行ってこのコトバが浮かんだのは初めてだった。
「打ちのめされた」「アッパレ」に近い。
そして「私はこんなに出来るだろうか?」と。
だからちょっと凹むのだ。

いや、でも。
やらなくてはいけないだろう。

震災の「し」の字も、「頑張れ」のMCのひとつもなく、ただただ音楽と言葉の力で充満しつづけた、今この時の、とある日のライブ。
私にはそれが、かぎりない理想の姿に思えた。
表現者にはそれぞれ、言いたいこと、表現の仕方がある。そのどれに共感するかなんて人それぞれ。
私には、小手先に聞こえるような言葉の羅列や、まず誰かのせいにしたり他者を非難したりする「メッセージ」や(そんなのちっともメッセージじゃない!)方法は、小さくて小さくて、もうかわいそうになるくらいみっともなく見える。
日本人的と言われようが、冷たいと言われようが、小心者だと言われようが、体制寄りだと言われようが、かっこつけてんじゃねえと言われようが、構わない。

好きな曲、久しぶりの曲、たくさん聴いてしあわせになったけど、この日いちばん沁みたのは・・。
不思議なことだが、一番聴き慣れたあの「今宵の月のように」だった。

♪いつかの電車にのって いつかの町まで
・・・
明日もまたどこへ行く
愛を探しに行こう♪

愛に溢れるステージ、愛を与える仕事。
見据える先は、いつまでも変わらない。
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この日のライブの様子が公式にYou Tubeにアップされているので、見たい方は是非↓

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by saskia1217 | 2011-04-09 20:05 | エレファントカシマシ