「ためる」こと

計画停電、輪番停電。
すべての日本に住む人にとって、何もかもが初めてのこと。
東電も大変だし、鉄道会社も大変だし、警察も大変だし、みな同じように大変。
昨夜遅く、今日早朝からスタートと聞いてみんな身構えていたはずだ。
結局実際にそれが行われたのは今しがた、17時から、それも該当グループのうちの一部。

せっかく決めてみんなその気になっていたのに(鉄道会社も含め)「決めたんだったらやればいいのに」とつい思いがちだけど。
「足りている」なんていうとすぐ「あ〜、じゃあいいのか」と気を緩めて電気の無駄遣いする人がドッと増えるじゃないか、とか。
「決めたんだったらその分を貯めといて後に回せばいいじゃん」とか。

でも。
電気って残念ながら「貯められない」んですね。
充電電池みたいなごくごく小さい単位では可能でも、何万ボルトという単位で扱われる電力会社の話ではそれは不可能らしい。
「するかしないか、足りているか足りていないかはギリギリにならないと発表できない」という話も納得できる。仕方がないのだ。
「足りてない」といって節電したとしても、その分が生かされないで無駄になるくらいなら、それを実施したときの不便がないほうがいいに決まってる。
ん〜、難しい。

ずっと部屋で被災地の映像を見ているとどうしても気持ちが落ちてくるので、ちょっと外に出た。
「あ〜、こんなに暖かくていい日なのに」
思わず、そうつぶやいた。
照明を落とした本屋やハンバーガーショップ、品薄や入荷未定の張り紙が貼られたコンビニやスーパー。
両手にいっぱいの食料品や日用品を買い込んだ人たち。
学校が休みで無邪気に遊ぶ子供達。
平日午後なのに会社も休みだったのか、本屋さんは立ち読みする普段着の中年男性たちでいっぱい。
静かな店内に突然、誰かの携帯の「地震警告メール」がけたたましく鳴り響き、お客さん全員が一斉にそちらを見る。
犬の散歩をする人、それでも聞こえてくる立ち話はいずれも地震の話。

しかし、ある程度の「備え」は必要とはいえ、何故みんなこんなに盲目的に「買い溜め」るんだろう?
11日からもうすでに、牛乳とパンが一切店頭から消えた。
牛乳もパンもそんなにもつものじゃないし、冷凍できるパンだって電気が切れたらそのうちダメになる。とりあえずは加熱しないで食べられるということなんだろうが、それにしても尋常でない量を買い込む人たち。
こんなとき、ヨーロッパなんかには普通にある、1ヶ月以上常温で保存できる「高温殺菌」の牛乳があればいいのにな。
みんな考えることは同じなんだろうけれど・・・すごいね。
トイレットペーパーも売り切れてたけど、何故だ??

テレビ見てて突然画面が消えたら、それが停電。
帰ってきて電気が点かなかったら、それが停電。
冷蔵庫が止まったら、食べるか捨てるかだ。
交通、医療など命に関わる場合をのぞいて、私たちの日常の生活レベルならそれでいいと思う。
この際、水もガスも節約しようよ。

震災の翌日、ドイツのオルガンの師匠から日本にいるかつての生徒数人に、安否を心配してくださるメールが届いた。すぐに返事を出した。
スペイン、ポルトガル、イタリア以外のヨーロッパの北の国の人たちにとって、日本はまさに「怖い国」以外の何ものでもないだろう。地震を経験したことのない人は、「地面が動く」ということを想像することさえ出来ない。
「そんな国に住むなんて」と言われても、その国に生まれたからには仕方がないのだけど。

11日当日からすでに、ドイツのメディアはしきりに原発に重点をおいて報道していた。
地震が殆ど起こらないドイツだが、様々な理由で「2021年までに国内の全ての原発をストップさせる」と前任のシュレーダー首相時代に決定されたことは、当時ドイツにいた私にはその決断がとても印象的だった。
その方針を現メルケル首相が覆そうとしていた矢先、今回の日本の震災、そして原発事故。
ドイツではここ数日、その議論が高まっているらしい。
国によって資源や需要の状況も違うので、原発の是非について語るのは非常に難しいのだが。

とにかく、心も行動も、早急に誤った動きをしないよう気をつけたいと思った一日。
東京で私が身体に感じた余震、4回。
一日が長いのか短いのか、よくわからない。
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by saskia1217 | 2011-03-14 19:22 | 感じろ、考えろ、思え! | Comments(4)

Commented by うらら at 2011-03-14 22:11 x
そうかぁ・・・
世界には地震を経験したことがない人っていうのがいるんですねぇ・・・
そんなことを意識したこともありませんでした
Commented by saskia1217 at 2011-03-15 19:06
私たちにとってはいつも頭のどこかにあるものでしたが。
正確な統計はわかりませんが、おそらく地震を経験したことのない人のほうが、ずっと多いと思います。
それでも、様々な国からのメッセージや行動に、日に日に感じるものは強いです。
Commented by 馬酔木 at 2011-03-15 23:49 x
昨日、仕事帰りにスーパーの品薄状態に驚き、今日は昼間から、「明日のパン」のため、何軒もはしごしました。パンだけでなく、米、うどん、パスタといった炭水化物が売り切れていました。牛乳は、生産地が被災して供給がない、との表示が。トイレットペーパーやティッシュの完売は、石油ショックの時を思い出します。家で籠城する覚悟なんでしょうか。
うちのマンションは、停電すると水もガスも使えなくなります。停電が3時間なら、と思って、水は買うのではなく、毎日くみ置きすることにしました。
うちは計画停電の区域外すれすれなのですが、東電の最初の発表では行政区としては名前があったので、該当するのかどうか確認するまで、とても時間がかかりました。不正確な発表と、実施時間との余裕のなさも、不安に拍車をかけているように思います。
Commented by saskia1217 at 2011-03-16 02:03
そうですね、明日の食べ物がないというのはさすがに困りますね。
「生産地が被災して供給がない」という表示は一見消費者にとって親切のようでいて、反面「過度な奪い合い」を招きますよね。
うちもそうですがマンションは水やガスも関係してきますよね。私は日頃自宅用には水を買う習慣がないので、汲み置き用の空いたペットボトルを捜すのに苦労しました。水筒ややかんだと足りないので・・・

たしかに初日の停電の発表は混乱していましたね。電気の配分というものが行政区画ではなく変電所や配電盤の区切りなので、想定しえない規模の災害で、プロとはいえあの短時間での区分けは困難をきたしたことと思います。わずか数時間後に開始と決断を迫られるほど逼迫して、たしかに余裕などなかったと想像しています。
被災者の方々の、現場で命がけで作業にあたってる方たちの、そして政府の方々の健康が支えられるよう祈るばかりです。