桜の花、散りゆく武道館〜エレカシ武道館ライヴ〜

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九段下の駅の階段をあがって外へ出ると、すでに殆どが散り去ってしまったお堀端の桜の下は、武道館へ向かうお客さん、「チケット求む」の紙を持った人たち、そして観光客でひどくごった返していた。
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「桜の花舞い上がる武道館」というタイトルの今日のライヴ。満員御礼である。
私はファン歴約1年ちょっと、5回目のライヴ。
初めて行ったのが昨年のGWの渋公だったから、ちょうど1年ほど前になる。
そして今日は、人生初武道館。
武道館なんて縁がなかったもんなぁ・・・。ホロヴィッツだってさすがにここじゃやらなかったし・・(でもNHKホールだって既に大きすぎたんだから、ここでやればよかったのに)。

席は、正面から入るとすぐの1階西側スタンド。
入ってみると意外とそんなに広く感じない。アリーナが狭いせいか。その分スタンド席の傾斜が急で、天井スレスレまで座席がある。(おかげで座席で立ち上がっても自分からステージへの視界は抜群にひらけているし、後ろの人の邪魔にもならない)
もちろん北を潰したコンサート形式だからキャパは15000ないだろうけれど、開演前、空のステージ付近で準備するスタッフ、撮影スタッフ、警備スタッフ、そしてどんどん埋まってゆく巨大な客席を自分の席から眺めていると、本当にこんなスケールの大きい状況でステージに立つアーティストってスゴイなあ、と当たり前のことにしみじみしてしまう。これだけの人を使い、これだけの人を動員し、その視線を一身に集める主役は、たった数人の出演者なのだ。そんなステージに立つことを想像しただけで身震いがする。さぞテンション上がるだろうなあ・・・。

いいコンサートだった。
ほんとうに。
何よりも聴きたい、何よりも大好きな宮本さんの「声」がよく出ていたし。
終演後外に出たとき、なんだろう、とっても素晴しい作品と空気がつまった美術館から出てきたような気持ち。
デパートの7階にきた「美術展」じゃなくて、ルーブルとかアムステルダム国立とか、そういう美術館でいいものをいっぱい見て出てきた時の、あの充実感。
「いいものを見て聴いた」という満たされた温かさ、重量感、適度な湿気、甘さ、安心感、そして一抹の寂寥感。もちろん、演奏や曲がしっとりし続けていたわけではなく、宮本さんはそれこそ初期の曲もたくさんやってくれて、がんがんロックしていたんだけれど。(帰り際に「へえ、こんなにロックだったなんて知らなかった、びっくりした〜」と言っているお客さんがいてクスリ。そうだよな、「絆」とか「桜」だけしか知らなかったら「男は行く」に度肝抜かれて当たり前だ・・・。)
爆発してるのに浮ついていない。熱と力のなかに、伝える先、目標が見えているような、そんなしっかり筋が通ってる説得力。

アリーナ立ち見でなかったせいなのか、スピーカーに異常に近くなかったせいなのか、今日は何故かムダな高揚感や自分で制御できないような興奮がなく、終わってから耳鳴りも残っていない。会場の大きさかと思ったが、でも渋公も結構大きかったし座席だったのに、あの時はむちゃくちゃ動悸が激しかった。
それが今日は「じわ〜」っという3時間。
なんだろう、この安定感(笑)。
エレカシの「今」がそうなのか、はたまた自分が変わったのか。

アンコールを入れて全26曲。3時間弱のステージ。
移籍後タイアップなども増え勢力的に活動するエレカシには、CMや映画主題歌しか聴いたことのないファンも、そして20年来のファンも、どちらも多くいる。
そのどちらにも不満が残らないようなセットリスト。いいバランス。
昔の曲もたくさん。エピック時代のアルバム7枚のうち5枚から選曲されている。
セトリはいろんなところでレポされているので書かないけど、個人的に嬉しかったのは、「風」「男は行く」「風に吹かれて」「未来の生命体」「珍奇男」「さらば青春」「この世は最高」あたり。
「風」はじつはエレカシ発表曲209曲中一番好きな曲かもしれない。なんとなくここ1ヶ月ほどエレカシを聴くのを避けていたのだが、実は今日出かける前にアルバム「風」を久しぶりに聴いていたのだ。この曲はそのアルバムのラスト。
♪いつか通ったとおりを辿り来た気がする♪と始まり、♪死ぬのかい、オレは・・・♪で締められる、明るいハーモニーの中に、胸を締め付けられるような死への一瞬の思いを歌った名曲。

「男は行く」は昨年秋のJCBのライヴでも聴いたけれど、満員の武道館に宮本さんの振り絞るような太い声で
♪ああ、青蠅のごとく小うるさき人達よ 豚に真珠だ貴様らに 聞かせる歌などなくなった♪
と響き渡ったときには何故だかこっち側にも「やったぜ」感がありましたね。

「風に吹かれて」は何度聴いても本当によく出来た曲なんだけれど、私は、最近よくやっていた線の細いキーボードvers.より、ギターのかっこいいソロで始まって途中からドラムがマーチ風になるオリジナルが好きなので、久しぶりにそれが生で聴けて嬉しかった。





あと好きだったのは新曲「ハナウタ〜遠い昔からの物語〜」、現在サントリーのCMで放映中のあれである。
宮本さんにしか創れず、宮本さんにしか歌えないという、本領発揮の1曲だと思う。

そして最近特に好きな「to you」の爽やかさといったらなかったし、「絆」は本当に心を込めて丁寧に歌ってくれた。やっぱりどれもこれもライヴのほうがずっといい。

一時吐くほど聴いていた「俺たちの明日」も久しぶりに聴いてジ〜ン。サビで客席も一気に明るくなるあのライティングが好き。

照明といえば今日は撮影の都合もあったのだろうか、お客方向(特に東西1階スタンド前方)に照明が当たる演出が結構あったのだが、ライトに照らされるとなんか反射的に「え、私?」「あ、ここですここです〜!」みたいな、ついそんな笑顔になりませんか??・・・出演者でもないのに(笑)。

冒頭の「新しい季節へキミと」や「桜の花舞い上がる道を」「昔の侍」「シャララ」(これは圧巻!)で、ステージ最後列に2列に陣取った弦が、あのだだっ広い武道館に音の絨毯を敷き詰める大きな役割を果たしていたと思う。やっぱりね、あのくらい人数いないとダメですね。結構な人数だったので、宮本さんが文字通り指揮者のようだった。
(弦入りPVが埋め込めなかったのでこちらを)


(↓Cメロの♪滅びし日本の姿よ〜♪が胸を打ちます)

(↓5枚目のアルバム「エレファントカシマシ5」収録/この日の武道館映像)

MCはいつもより少なめだったかしらん。でも曲どうしの流れがあってよかったですけど。
セットリストの絶妙さも実感。「風」のあと間髪入れずに「流れ星のやうな人生」というウマさ・・・♪あと5分しか生きられぬのなら♪から♪今の自分を信じてみなよ♪へ、ぐぐ〜っと押し上げられる。

聴く人の心が掌に乗っけられて、でもそれがこちらも心地よい。巻き込み、巻き込まれ、弄ばれつつも全員がハッピーになる、まさにアーティスト/パフォーマー、そしてそこにいるオーディエンスの極意。
でもMCも普通のことをしゃべっているのに笑いが起こる・・・それが宮本テイスト。
「アルバムがね、なんか18?19枚くらいになってる『そう』で・・・(笑)・・・いや10枚までは数えていたんですけど・・・人に教えてもらって・・・」
「オレが50になったら、みんなまた会おう!」(笑)・・・それまで会えないの?
「オレは人を慰めるよりも、慰め『られる』ほうが好きなんだけど(笑)、やっぱり元気のない人を見るとさ、励ましたくなるよな」
「何しゃべるかって決めてないんで・・・」とメンバー紹介をムダに何度もやって(笑)。3回目に「じゃここで『正式に』メンバー紹介させてください!」(笑)

案の定「座席」があったって今日も当然のごとく「即全員起立」だったのだが、一応椅子があるし、いざとなったら靴脱いじゃえなどと思い、たまには少しオシャレするかと今日は珍しくパンプスを履いていった。で、結局3時間立ちっぱなしだった。メンバーが捌けてしまっても座る気にはなれず、ずっと立ったまま拍手していた。
でも全く疲れなかったし、どこも痛くない。
「好きなもの」にはきっと「痛み」や「疲労」のほうも近寄らないのだろう。

あの才能には本当に裏切られることがない。
ただただ尊敬。
そして宮本さんが最近よく言及する、自分以外の人への気持ちや感謝、
今夜はそれを私の手の中に包んでからそっくりそのまま、宮本さんへ、そしてエレカシメンバーへ、その他たくさんの人たちへ、フワッと渡したい。

音楽ってスゴイ。
音楽って素敵。
そして・・・それに魂を捧げた人に出会える、このうえなき幸せ。
間違いなく歴史に残るもの。
この人たちは確実に歴史を作っているんだなと思った。
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オマケ
「風に吹かれて」別ヴァージョン(インプロ?後半まったく別の曲みたいになってますが、かなり好きです)

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Commented by iriya at 2009-04-12 23:01 x
はじめまして。

ファン歴10年くらいなのですが 今回の武道館は圧巻でした。これまでにも気迫あるライブは体験済みだし 鬼気迫るようなパフォーマンスだってもしかしたら今回の武道館以上のもあったはずなのに なぜか11日の武道館でのライブはこれまでのとは一味も二味も違った凄みというかスケールアップしていて しかも包容力すら兼ね備えたエレカシを感じたライブだったと思います。
まず登場段階からして違ってたので(今までSE流れる中の登場は無かった)このとき既に何やら今までとは違うなという予感がしてました。

ストリングスが入るだろうことは予想してましたが それはあくまでもここ最近の作品の為だろうと高をくくってました。でもそれだけの為じゃなかったですね。嬉しい誤算でした。
でもエピックの凄みのある楽曲と最近の曲とが織り交ぜられても全く違和感無く聴けた事が一番嬉しかったことでしょうか!

エレカシのライブも凄かったけど saskiaさんの今回のレポにも心酔しました。特に最後の方の文章(あの才能には本当に裏切られる事は無い。〜この人たちは確実に歴史を作っているんだなと思った。)のところぐっと来ました。



Commented by saskia1217 at 2009-04-13 15:41
iriyaさま

はじめまして。
コメントどうもありがとうございました。

やはり今回の武道館は「何か一段とすごいもの」だったのですね。
ストリングスの生かし方も、ロックやポップスの場合一歩間違うとただの添え物のようになってしまうこともあると思うのですが、やはり宮本さんの音楽性というか音楽的センスの徹底性を感じました。(もちろんアレンジャーの力もあるとは思いますが)
このところファンのなかでは「昔の凄みのある曲がききたい」という声が大きかったように思いますが、ライブに行くたびにその神髄をちゃんと聴くことができていたので、聴く方もそんなにヤキモキしなくてもいいのにと感じていました。そのへんのことは、最近のエレカシの音楽や、宮本さんのインタビューなどで十分伝わってきたような気がします。

私も10年前、20年前に彼らの存在と音楽を知っていたらどんなによかっただろうと、この一年随分思いました。が、やはり何かと出会う「時」というのがあるのだろうし、何よりもとにかく「出会えたこと」が本当によかったと幸せに思っています。

またきっと時々エレカシのことを書くと思いますが、もしよろしかったらまた遊びにいらしてください!
Commented by マミ at 2009-04-13 22:12 x
まずは。。ありがとうございます!
武道館に居てライブを体感したかのような、saskiaさんのレポはそんな思いにさせてくれました。

レポを読んで涙が溢れるって。。なんなのでしょうね。
音楽関係の方からファンの方まで。
それこそエレカシが歴史を刻んだその時に瞬間に居られた方々の、言葉はそれぞれ違っても、このライブがどれほど素晴らしいものだったかというレポが、今の私にとっては宝物のようになっていて、何度も何度も読み返しています。

彼らのデビュー当時。
知ってはいましたが全く興味の対象外で。
今宵の…でブレイクした時。
楽曲と共に、タレントさんのように露出が多かった宮本さんのキャラに惹かれ。
でも。なぜか。今。
昨年から急激に傾倒していき、今に至る。
リアルタイムで体感出来なかったことを悔しくも思いますが、私にとっては今がエレカシと宮本さんとの出会いの時なんだろうな と、変に納得しています。

繭から抜け出て、たくさんの光を集めて、そして更に光の射す方に向かって行く 今の宮本さんが大好きなのです。
あぁ。。なんだか長く語ってしまいそうなので(苦笑)この辺で。

私の初エレカシ体験は、次の全国ツアー。 大阪 トリ です!
昇天間違いナシ!です(笑) 生きて帰れるかしらん。

※「風に吹かれて」別vr. 私もこれ大好きです。
つくづく宮本さんってメロディーメーカーなんやなぁと。。
Commented by saskia1217 at 2009-04-14 17:50
マミさま
そうですね、きっと1人1人が「出会った」その時が、それぞれにとって「正しい」時だったのでしょうね。
全国ツァー楽しみですね。
きっと生きて帰れますよ(笑)・・・というか、きっと「生き返って帰って」これそうな気がします。
♪こうなりゃみんなで昇天さ〜〜〜!!
by saskia1217 | 2009-04-12 04:23 | エレファントカシマシ | Comments(4)